彫金は、金属の表面をタガネで切ったり押したりして、模様を彫り込む技法です。線を彫るタガネ、面を削るタガネ、穴を開けるタガネ、凸凹を平らにするタガネ、地文を打ち付けるタガネなど数十種類もあり、職人たてはそれらを使い分けながら、見事な美を創造しています。ここでは代表的な技法をいくつか紹介します。
【毛彫り】
連続した凹線で模様を彫り込む技法です。タガネの先端を金属表面に浅く入れたり、深く入れたりして、線の太い細いを出します。毛筆で描いたような柔らかな味をだすこともできます。 |
【透かし彫り】
金属の一部を切り落とし、残った部分で模様を作る技法で、タガネと糸鋸を使います。普通の線彫り模様に比べ、華やかに仕上がります。 |
【蹴り彫り】
タガネを軽く浮かせ、蹴るように打ち込んで線を刻む技法です。掘り込んだ痕は、楔の形をした点が連なっています。 |
【肉彫り-ししぼり-】
タガネで裏面から打ち出したり、表面を叩いて肉付けする技法です。肉の厚みによって使うタガネも異なります。 |
【片切彫り】
刃先が「一」の文字になったタガネを使い、花鳥風月の文様などを掘り込む技法です。刃先を幅広く使ったり、当てる角度を変えることによって、さまざまに表現することができます。 |
【魚子打ち -ななこうち-】
刃先が小さな輪になったタガネを使い、表面に魚の卵のような小さな円の文様を打ち込む技法です。シンプルですが、文様を美しく揃えるのは至難の技と言われます。 |